BOD vs COD

  水中の有機物質が分解するときには、酸素を使います。消費された酸素の量を知ることで水中の有機物量を知ることができます。BODもCODもこの点では同じ考え方に立っています。ただし、河川=流水と湖沼=静水では、環境が違うため、それぞれにあった酸素消費量の測定方法が開発されました。共に数値が高いほど有機物が多く汚濁が進んでいます。

【BOD】 Biochemical Oxygen Demand 生物化学的酸素要求量
河川水の評価に使います。 高いほど汚染が進んでします。
◎砥川環境基準 2mg/l以下
【COD】 Chemical Oxygen Demand 化学的酸素要求量
湖沼等静水の評価に使います。 これも高いほど汚染が進んでいます。
◎諏訪湖環境基準 3mg/l以下

  
細菌が汚濁物質を分解するときには、私たちが呼吸をするのと同じように酸素を使います。汚濁物質が多いとその数は、どんどん増え、使う酸素の量も多くなってきます。反対に汚濁物質が少ないと分解も楽です。微生物数はあまり増えず、使う酸素の量も少なくてすみます。そこで、水中の細菌が汚濁物質を分解するときに消費される酸素の量を調べ、汚濁物質の量の目安とするもの、これをBOD(生物化学的酸素要求量)といい、河川の汚れを表すときに使います。
 河川は流下時間が短く、流れる間に比較的分解されやすい有機物が好気性微生物によってどの程度分解されるかを測定の対象とすれば足りるという考え方で、放流された排水が河川中でどれほど酸素を消費するかの目安として、イギリスで開発された指標です。
 20℃で5日間、暗所培養したときの酸素消費量を示しますが、「5日間」はイギリスの河川の最大流達時間(水源から海に達するまでの時間)に相当します。
対して、湖沼の水の汚れは、COD(化学的酸素要求量)で表します。
 湖沼には光合成によって有機物を生成し、溶存酸素の生産と消費の両方を行う植物性プランクトンが存在するため、BODを正確に測定することが困難なことから、過マンガン酸カリウムという酸化剤に反応させ、有機物によって消費された酸素量を求めたものです。
 湖沼は滞留時間が長く有機物分解に溶存酸素が消費される時間は5日以上になり、有機物の全量を問題にしなければならないという立場に立っています。
 通常、人為的汚染がなければ、BOD,CODともに概ね1mg/l以下です。


  ●食品別BOD換算(負荷量)一覧表

品目   BOD   

  mg/g

自然水必要量BOD値を満たす自然水の量 魚類生息可能 BOD5mg/gにしたい
希釈倍率 風呂桶換算
牛乳瓶一本分を捨てたとき何倍に薄めると魚が棲めるか それは、300lの風呂桶何杯か
みそ汁 35,000 4t ×7,000 5杯
ラーメン汁 25,000 3t ×5,000 3杯
米とぎ汁 3,000 0.4t ×600 0.4杯
牛乳 78,000 10t ×15,600 10杯
日本酒@ 200,000 25t ×40,000 27杯
天ぷら油 1,000,000 125t ×200,000 133杯
ビール 90,000 11t ×18,000 12杯
しょう油 150,000 19t ×30,000 20杯
し尿 13,000 2t ×2,600 2杯

※フナ、コイが棲める濃度が5mg/l ヤマメ、イワナが2mg/lといわれています。
※自然水必要量は、自然水の溶存酸素が通常8g/t含まれるとして、品目それぞれ1lに含まれるBODを分解するのに必要な酸素を含む自然水の量を示します。
※希釈倍率は、魚の生息可能濃度5mg/lにするのは、捨てたのと同じ器でどれほど水が必要かです。
※風呂桶換算は、それぞれ200ml(牛乳瓶1本)を捨てたとして、風呂桶(300l)で何杯分の水が有ればBOD5mg/lになるかを示します。

●日本酒BOD 200,000mg/l=200g/l ※@
日本酒1lを分解するのに200gの酸素を必要とすることを示しています。
通常自然水には8〜9mg/l、つまり8g/tの酸素が溶けています。ですから、計算上は、25tの自然水が持っている酸素を全部使い果たして初めて日本酒1lに含まれる有機物を分解できることになります。 
なお、し尿のBODは、13,000mg/lです。捨てるくらいなら日本酒は、残さずに飲むこと。
天ぷら油のBOCを確認してください。下水道の処理も微生物を利用した生物的な分解を主にしています。これを下水に捨てるのは、犯罪だと思いませんか?   



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