湖浄連ブラックバス駆除奮闘記

 近年諏訪湖でも問題になっている外来魚の大繁殖。ブラックバス(オオクチバス)とブルーギルはワカサギなどと違い、公に持ち込まれた魚ではありません。しかもこれら外来魚はワカサギやエビ等を餌として食べてしまいます。漁協を主体とした外来魚との熾烈な戦いは今日も続いているのです。

これまで諏訪湖周の本来あるべき姿を守るため、外来種であるアレチウリの除去にも取り組んできた湖浄連としては見過ごせない問題です。

 ブラックバスに関しては擁護派と駆除派に分かれ、諸々の討議が交わされています。これまでの討論会、シンポジウムを聞いても、双方の接点が見いだせないというのが現状と言えるでしょう。そんな中、湖浄連は昨年より本格的に外来魚に関する学習を開始しました。試験的に駆除も行っています。そしてついに今年度は事業計画の中で「ブラックバス稚魚の駆除」を明確に謳い、湖浄連あげての駆除に乗り出すこととなりました。今回は15年度の駆除の様子をレポートしてみましょう。

◇5月30日(金) AM9:00〜  四王船着場

 漁協で一斉駆除をするとの連絡を受け、参加者を募り現地に集合。平日ということもあり、集まったのは会長・総合研究部会長・事務局のみ。独自のタモ網を保有していないため、漁協の皆さんが駆除している姿をただひたすら眺めていた。


会長の手のひらでもがく稚魚見えますか?

 今年は四王にはブラックバスが余り入っていないらしく、成魚は数匹投網に掛かったものの、稚魚は完全な空振りに終わった。高木の舟着場で採ったという稚魚が運び込まれたのが唯一の成果。ここで見た稚魚はメダカの子供と言われても納得しそうな形をしており、実際の駆除で見極めが出来るか、かなり不安。 その場で長野県水産試験場諏訪支場 武居主任研究員よりブラックバスの生態について簡単なレクチャーを受けた。


◇6月15日(日) AM9:00〜  高浜〜諏訪境 船着場3箇所

 総合研究部会の位置づけで開催。漁協からタモ網を借り、長野県水産試験場諏訪支場 武居主任研究員を講師に迎え、万全の体制で駆除に臨む。


みんな必至で採ってます。

 みずべ公園に集合したが、四王はどうもいないようだという情報があり、いると目されている諏訪方面に移動。博物館前の船着場から駆除を開始した。確かに当日は曇り、且つ波も高く、駆除に適した天候ではなかったが、最初の2箇所が終了した時点での釣果は5匹。全員に疲労と焦りの表情がかなり露骨に表れる。
 それでももう一箇所やろうと移動した先が大当たり。最初からここに来れば良かったという感想が聞かれる程良く取れたが、ここまでに費やした時間と体力はいかんともしがたく、300匹程度駆除した時点で燃え尽きた。


前回より随分大きくなりました。

 まだ体長は1p〜1.5p程度で、他の魚と区別するのは難しく、最初のうちは冤罪により捕らえられた魚もいたが、徐々に参加者の目もしっかりしてきたので後半は大丈夫だったと思われる。体にはくっきりとした黒い横線があり、よく見ると目や口も他の魚に比べると大きい。前回漁協の駆除の際に比べると随分大きくなっており、確かにブラックバスの子だなぁと思える様になっている。


◇6月29日(日) AM9:00〜  高浜〜諏訪境 船着場3箇所

 今度は湖浄連全体の駆除ということで、総合研究部会員を講師に駆除を進めることにした。今回はLCVも取材に来ており、「これで採れないとカッコ悪いな」、「採れなかったら何て言えばいいんだろう」と誰もが思ったであろう。しかしながらと言うべきか、案の定と言うべきか、その思いに現実はついてきてくれなかった。3箇所合わせて20匹弱という何ともさみしい結果に終わってしまった。

カメラを向けられ、緊張の面もちで網をいれています。

 しかしながら、ここで取れたブラックバスはサイズこそ2p強と小さいものの、すっかりブラックバスの格好をしており、成長の早さにただただあきれるばかりであった。この勢いで成長し、繁殖していったのでは、諏訪湖の魚はみな食べられてしまうという危機感を感じずにはいられない。このシーズンを過ぎるとブラックバスは沖に出てしまい、タモ網でとることは出来ない。今年の駆除はここまでになるが、来年以降も継続的に駆除していかなくてはならないだろう。


あの釣果でこれだけしゃべれるのは立派

 今回の駆除数は少なかったが、LCVの取材を受けたことで湖浄連の想いを伝えることが出来たのは大きな成果であったと言える。会う人毎に「お前、ブラックバス採ってただろ」と言われたところを見ると、相当の人が放送を見たのだろう。これを見て現状を知ってもらうだけでも我々の活動に意味があったと言って良いのではないだろうか。
 次はブルーギルの稚魚の駆除に乗り出すことになるだろう。


さすがの貫禄
余裕でインタビューに応える副会長

このシーン、結局カットされました(涙)



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